トリガーポイントとは何か?
トリガーポイントとは、筋肉の中にできる「痛みの引き金」のようなポイントです。
押すと痛みが広がったり、離れた場所に症状を出したりする特徴があります。
今回は、肩こり・腰痛・頭痛・坐骨神経痛などにも関係するトリガーポイントについて解説します。
横浜の鍼灸マッサージ治療院feel院長の佐野です。
「痛い場所と、原因になっている筋肉が違うことがあります」
例えば、
・肩が痛いのに、原因は首の筋肉だった
・腰が痛いのに、お尻の筋肉を押されると痛みが響いた
このようなケースは珍しくありません。
こうした慢性的な痛みに深く関係しているものの一つが、「トリガーポイント」です。
近年では、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)との関連も含め、筋肉や筋膜由来の痛みとして注目されています。

トリガーポイントとは?
トリガーポイントとは、
「筋肉の中にできる、痛みを引き起こしやすい過敏な部分」
のことです。
押すと、
・強く痛む
・「そこそこ!」という感覚がある
・いつもの痛みが再現される
・離れた場所へ痛みが広がる
といった特徴があります。
この、「離れた場所へ痛みが出る現象」を、関連痛と呼びます。
なぜ離れた場所が痛くなるのか?
これがトリガーポイントの特徴です。
例えば、
・首の筋肉→ 頭痛・目の奥・肩の痛み
・肩甲骨周囲の筋肉→ 肩関節前面の痛み
・お尻の筋肉→ 太もも〜ふくらはぎの痛み
など。
つまり、「痛い場所」=「原因」とは限りません。
そのため、
・「肩が痛いから肩だけ」
・「腰が痛いから腰だけ」
を施術しても改善しにくいことがあります。
トリガーポイントはなぜできる?
トリガーポイントは、
・長時間の同じ姿勢
・デスクワーク
・運動不足
・使いすぎ
・筋疲労
・ケガ
・ストレス
・偏った身体の使い方
などによって形成されると考えられています。
筋肉が長時間緊張すると、
・血流低下
・酸素不足
・疲労物質の蓄積
が起こり、筋肉の一部が過敏な状態になります。
これが慢性化すると、トリガーポイントとして残ることがあります。
「コリ」との違い
一般的な肩こりと混同されることがありますが、トリガーポイントには特徴があります。
トリガーポイントの特徴
・押すと強く響く
・関連痛がある
・動かすと痛い
・可動域が制限される
・同じ場所を繰り返し痛める
・慢性化しやすい
単なる疲労ではなく、「痛みを発生させる状態」になっていることがあります。
レントゲンやMRIでは分かりにくい
ここは非常に重要です。
トリガーポイントは、
・骨折
・ヘルニア
・変形
のような構造異常ではありません。
そのため、レントゲンやMRIに写りにくいことがあります。
実際、「異常なしと言われたけれど痛い」という方の中には、筋肉・筋膜由来の問題が関係しているケースがあります。
筋膜との関係
近年では、筋膜(ファシア)との関連も注目されています。
筋膜は、筋肉や内臓、神経などを包み、全身をつなげている組織です。
筋膜の滑走性が低下すると、
・動きにくさ
・張り感
・痛み
・筋緊張
につながることがあります。
また身体は、筋膜によって全身が連続的につながっているという考え方もあり、アナトミートレインでは筋膜経線として説明されています。
そのため、「局所だけでなく身体全体を見る」ことが重要になります。
トリガーポイントと鍼治療
当院では、筋肉・筋膜・動作評価をもとに、痛みの原因になっている可能性の高いトリガーポイントへアプローチしています。
特に鍼治療は、
・深部筋
・手では届きにくい筋肉
・痛みを再現するポイント
へ直接刺激を入れやすいのが特徴です。
また、トリガーポイントの考え方は、鍼灸・徒手療法分野でも発展が続いています。
慢性的な痛みでは「原因探索」が重要
慢性的な肩こり・腰痛・股関節痛では、「痛い場所」だけを見ても、改善につながらないことがあります。
重要なのは、
・どの筋肉が負担を受けているか
・なぜそこに負荷が集中したのか
・どの動作で悪化するのか
・身体全体でどう連動しているのか
を評価することです。
当院では、局所だけでなく、
・筋膜のつながり
・動作
・姿勢
・左右差
・深部筋の緊張
なども含めて評価を行っています。
まとめ
トリガーポイントとは、
「筋肉の中にできる、痛みの引き金」
です。
そして、
・肩こり
・腰痛
・頭痛
・股関節痛
・坐骨神経痛様症状
など、多くの慢性的な痛みに関係していることがあります。
「痛い場所」と「本当の原因」が違うことは少なくありません。
そのため、慢性的な痛みでは、「どの筋肉が原因になっているのか」を評価することが重要になります。
=筆者:佐野 聖(さの ひじり)/ はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長=
1995年、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格)取得。整形外科勤務を経て臨床経験を積み、2003年に横浜にて「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」を開業。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)、トリガーポイント、筋膜へのアプローチを専門とし、肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、慢性的な痛みに対する施術を行っている。
局所だけでなく、筋膜のつながりや身体全体の機能評価を重視し、解剖学・運動学をベースにしたトリガーポイント鍼治療を臨床で実践。
過去には、トリガーポイント治療に関する臨床や技術について、鍼灸専門誌『医道の日本』に特集掲載された。
