はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長の佐野です。
股関節痛は、レントゲンやCTで異常が見つからなくても、股関節周囲の筋肉や筋膜の過緊張によって起きていることがあります。
特に、
・中臀筋
・大腿筋膜張筋
・大腰筋
・腸骨筋
などは、歩行や階段動作と深く関わる筋肉です。
今回は、半年以上続いていた股関節痛が改善した症例をご紹介します。
歩くだけで痛い右股関節痛
来院されたのは50代女性。
施設内を歩くことが多いお仕事をされています。
症状は、
・右股関節の痛み
・脚が上がらない
・歩くだけで痛い
・階段の上り下りがつらい
・長く歩けない
・立ち上がり時にも痛い
という状態でした。
症状は半年以上続いており、日常生活にもかなり支障が出ていたそうです。
医療機関では「異常なし」
医療機関では、
レントゲン
CT検査
を受けられていましたが、特に大きな異常は見つからなかったとのことでした。
その後、
・整骨院
・マッサージ
・整体
なども受けられたそうですが、大きな改善はなく、知人のご紹介で当院へ来院されました。
股関節そのものではなく、“周囲の筋肉”が原因になることがあります。
股関節の痛みというと、
・変形性股関節症
・関節の炎症
・軟骨の問題
などをイメージされる方も多いと思います。
もちろん実際に関節由来の痛みもあります。
しかし臨床では、画像検査で異常が見つからないケースの中に、
・筋肉
・筋膜
・トリガーポイント
・動作時の負担
が関与していることも少なくありません。
今回の患者様も、初回の触診では股関節周囲の筋緊張が非常に強く
・大臀筋
・中臀筋
・小臀筋
・大腿筋膜張筋
・大腰筋
・腸骨筋
これら全体が強く硬くなっていました。
特に問題となっていた「中臀筋前部線維」と「大腿筋膜張筋」
施術を進めていく中で、最終的に強く残ったのが、
・中臀筋前部線維
・大腿筋膜張筋
でした。
中臀筋は、歩行時に骨盤を安定させる非常に重要な筋肉です。
特に前部線維は、
・片脚立ち
・歩行時の体重移動
・骨盤の安定化
に深く関わっています。
また、大腿筋膜張筋は腸脛靭帯を介して下肢全体の安定性にも関与します。
施設内を長時間歩くという生活背景から考えても、歩行中にこの部分へ繰り返し負荷がかかっていたことが推測されました。
アナトミー・トレインで見る“外側のライン”
アナトミー・トレインでは、これら外側の筋膜連結を「Lateral Line(ラテラルライン)」として説明しています。
このラインは、
・足部
・下腿外側
・大腿外側
・骨盤外側
・体幹側面
へと連続しています。
つまり、股関節だけを単独で見るのではなく、
「身体全体の外側の張力バランス」
として考える必要があります。
実際、股関節周囲だけでなく、臀部全体〜骨盤周囲にも強い緊張が存在していました。
初期3回は“全体を緩める”施術
治療開始時は、局所だけではなく広範囲に防御的緊張が起きていました。
そのため最初の3回は、
・大臀筋
・中臀筋
・小臀筋
・大腿筋膜張筋
・大腰筋
・腸骨筋
これら全体を緩める施術を中心に行いました。
股関節痛では、「一番痛い場所だけ」を施術しても改善しないことがあります。
まず全体の過緊張を落とし、身体が動ける状態を作ることが重要です。
最後に残った“本当の原因”
全体の緊張が緩んでいくと、最終的に残ったのが、
・中臀筋前部線維
・大腿筋膜張筋
の深部拘縮でした。
4〜5回目では、このトリガーポイントへ鍼でアプローチ。
さらにパルス通電を用いて筋肉を収縮・弛緩させながら、深部の緊張改善を行いました。
すると、
・歩行時痛
・階段動作
・脚の上げづらさ
が大きく改善。
計5回の施術で、日常生活に支障が少ないレベルまで改善されました。
「異常なし」でも痛みは存在します
画像検査で異常がないと、
・年齢のせい
・様子を見ましょう
・使いすぎですね
と言われることも少なくありません。
しかし実際には、
・筋膜
・筋肉
・トリガーポイント
・動作時ストレス
などが原因となり、強い痛みを出しているケースもあります。
特に股関節は、
・歩行
・階段
・立ち上がり
・片脚支持
など日常生活で負荷が非常に大きい関節です。
そのため、周囲筋の緊張が長期間続くことで、慢性的な痛みへつながることがあります。
股関節痛でお悩みの方へ
・病院では異常なしと言われた
・歩くと股関節が痛い
・階段がつらい
・長く歩けない
・マッサージではすぐ戻る
・痛みが1ヶ月以上続いている
そのような方は、筋膜やトリガーポイント由来の問題が隠れている可能性があります。
当院では、筋膜とトリガーポイントに着目し、解剖学・動作分析をもとに施術を行っています。
股関節の痛みでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

よくあるご質問(FAQ)
Q. 股関節痛なのにレントゲン異常なしはありますか?
あります。
筋肉・筋膜・トリガーポイント由来の痛みでは、画像検査に異常が出ないケースも少なくありません。
Q. 中臀筋が硬くなると股関節は痛くなりますか?
中臀筋は歩行時の骨盤安定に重要な筋肉です。
過緊張やトリガーポイント形成により、股関節外側〜臀部に痛みを出すことがあります。
Q. 大腿筋膜張筋は股関節痛と関係ありますか?
あります。
大腿筋膜張筋は腸脛靭帯と連結し、歩行や片脚支持時に重要な役割を持ちます。
負担が続くことで股関節外側痛へ関与することがあります。
※本症例は一例であり、すべての股関節痛に同様の原因が当てはまるわけではありません。
=筆者:佐野 聖(さの ひじり)/ はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長=
1995年、鍼灸マッサージ師(国家資格)取得。整形外科勤務を経て臨床経験を積み、2003年に横浜にて「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」を開業。
これまでの臨床の中で、痛みの多くが筋肉や筋膜に由来することに着目し、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)およびトリガーポイントに特化した治療を専門としている。
肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、慢性的な痛みに対して、局所だけでなく身体全体の機能を踏まえたアプローチを行い、改善をサポートしてきた。
その治療技術と臨床経験は、鍼灸専門誌『医道の日本』において特集掲載されている。
