今日は、朝から女子フィギュアスケートをテレビで観戦。
坂本花織選手銀メダル、中井亜美選手銅メダルおめでとうございます。
冬季オリンピックを見るたびに思い出します。
20年前、トリノオリンピックでの 荒川静香 選手の金メダル。
そう、あのイナバウアー。

実は当時、イナバウアーを真似してぎっくり腰を起こした方が、3〜4名来院されました。
「反った瞬間にピキッときた」
「やってみたら翌朝動けない」
優雅なポーズの裏側で、腰椎には強烈な伸展ストレスがかかっています。
今回は、イナバウアーで起こりうる腰痛を
多裂筋パターンと腰方形筋パターンの2つに分けて解説します。
イナバウアー動作で起こる力学
イナバウアーは、
・強い腰椎伸展
。股関節伸展
体幹の後方重心移動が同時に起こる動作です。
股関節の伸展可動域が不足していると、その代償が腰椎に集中します。
結果として筋に過負荷がかかり、潜在していたトリガーポイントが活性化してしまいます。
重要なのは、「新しくできる」のではなく、もともと存在していた潜在性トリガーポイントが活動性へ移行するという点です。
パターン① 多裂筋由来の腰痛
■ 症状の特徴
・背骨の真ん中が痛い
・反ると詰まる
・起き上がりがつらい
多裂筋は椎骨を1つ1つ安定させる深層筋です。
日常生活で潜在性トリガーポイントを抱えていることは珍しくありません。
そこへ急激な伸展ストレスが加わると、潜在性トリガーポイントが活性化してしまいます。
すると、
・局所痛
・伸展時痛
・朝のこわばり
が出現します。
■ 触診所見
棘突起のすぐ外側、深部に索状硬結。
押すと「そこです」と明確に再現される痛み。
パターン② 腰方形筋由来の腰痛
■ 症状の特徴
片側が痛い
腰の横が重だるい
長時間立位で悪化
寝返りで痛む
腰方形筋もまた、潜在性トリガーポイントを抱えやすい姿勢保持筋です。
イナバウアーのような強い体幹伸展により、
既存の潜在性トリガーポイントが活性化してしまいます。
その結果、
側屈制限
伸展痛
臀部への関連痛
が現れます。
■ 触診所見
第12肋骨下〜腸骨稜上縁に硬結。
深圧で臀部や鼠径部へ放散痛。
上記2パターンともに、筋筋膜性の腰痛には、トリガーポイント鍼治療が有効となります。
なぜ“ぎっくり腰”になるのか
多裂筋も腰方形筋も、
「姿勢保持筋」
です。
日常生活の負荷により、
すでに潜在性トリガーポイントは存在していることが多い。
そこへ急激な伸展ストレスが加わることで、
局所循環低下
神経過敏化
トリガーポイントの活性化
が起こります。
これが急性腰痛、いわゆる“ぎっくり腰”の本質です。
活性化してしまったトリガーポイントを正確に鎮静化させること。
イナバウアー腰痛に限らず、ぎっくり腰でお悩みの際はご相談ください。
=筆者:佐野 聖(さの ひじり)/ はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長=
1995年に鍼灸マッサージ師(国家資格)を取得し、整形外科勤務からキャリアをスタートしました。臨床の現場で数多くの症例に携わる中で、痛みの多くが筋肉や筋膜に由来することに注目し、2003年に横浜で「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」を開業。筋筋膜性疼痛症候群(MPS)やトリガーポイント治療を専門に、肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、慢性的な痛みに取り組んできました。
その治療技術や臨床経験は、鍼灸専門誌『医道の日本』でも特集として紹介されています。
