こんにちは、鍼灸マッサージ治療院 feel 院長の佐野です。
健康のために「運動が大事」とよく言われますが、なぜ運動が体に良いのかをご存じでしょうか?
実はその秘密は「ホルミシス効果」と呼ばれる、“少しのストレスが体を強くする” という現象にあります。
ホルミシスとは?
ホルミシス効果とは、もともと毒やストレスになるものでも、少量や適度な刺激であれば体にプラスになるという考え方です。
たとえば、
強すぎる放射線は有害 → 微量なら修復力や免疫力を高める
食べ過ぎは不健康 → 軽い断食は代謝や細胞修復を活性化
激しすぎる運動は怪我や疲労 → 適度な運動は体を丈夫に
というように、「ほどほど」が健康を支えるカギになります。
運動とホルミシスの関係
運動そのものも、体にとっては一種のストレスです。
筋肉や心臓、血管に「負荷」という刺激を与えることで、体はそれに適応しようと働きます。
筋肉は微細なダメージを受け → 修復で強くなる
血管は血流が増える → 柔軟性が高まる
心肺は酸素を多く必要とする → 持久力が向上
つまり運動は、小さなダメージを与えて回復する過程で、体をより丈夫にする仕組みなのです。
歳を重ねると足が弱くなる理由
年齢を重ねると、筋肉の量や神経の働きは少しずつ低下していきます。特に「足の筋力」は衰えが早く、放っておくと立ち上がりや歩行がつらくなり、転倒リスクも高まります。
これは「サルコペニア」と呼ばれる筋肉減少症の一因でもあり、健康寿命を縮めてしまう要因になります。
しかしここでもホルミシスの考え方が役立ちます。足腰に適度な負荷をかける運動を続ければ、加齢による衰えを遅らせ、むしろ筋力やバランス能力を維持・改善することができます。

「適度」がポイント
大切なのは「やりすぎないこと」です。
毎日ハードトレーニング → 疲労・免疫低下・怪我のリスク
運動ゼロ → 筋力・代謝低下、生活習慣病リスク
その間にある「適度な運動」が、ホルミシス効果を最大限に引き出してくれます。
ウォーキングや軽い筋トレ、ストレッチでも十分です。特に足腰の筋肉を意識した運動は、将来の「自分の足で歩ける時間」を長くしてくれます。
まとめ
「体を甘やかす」のではなく、ほんの少しのストレスを与えることが健康の秘訣。
歳を重ねても元気に歩き続けるために、ホルミシス効果を意識して適度な運動を生活に取り入れてみましょう。
今日の一歩が、未来の健康を作ります。
『この記事の執筆者:佐野 聖(はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長)』
1995年に鍼灸マッサージ師(国家資格)を取得後、整形外科クリニックで8年間勤務。2003年に横浜で「鍼灸マッサージ治療院 feel」を開院。筋筋膜性疼痛症候群(MPS)やトリガーポイント治療を専門とし、肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など慢性痛の改善に注力。治療技術は鍼灸専門誌『医道の日本』にも紹介されている。