こんにちは。鍼灸マッサージ治療院feel 院長の佐野です。
今回は「寝違え」の治療について、実際の症例をもとにお話しします。
ご来院いただいたのは、40代の男性。
2日前から右の首に強い痛みがあり、朝目覚めたときに突然痛みを感じたとのことでした。いわゆる「寝違え」です。
まずは、どの方向に動かすと痛いのか、どの動作ができないのかを丁寧に確認しました。
初めに僧帽筋にアプローチを行い、緊張をゆるめたところで、再度深部の筋をチェック。すると、肩甲挙筋(けんこうきょきん)に明確な硬結(かたまり)を確認できました。

青:肩甲挙筋
〜左側の肩が僧帽筋です。僧帽筋の一段下に肩甲挙筋があります。ダイレクトに届く鍼ならではのアプローチ〜
僧帽筋が緩んだことで、深層の筋緊張が明確に浮き上がってきた形です。特に肩甲骨の上角付近、筋肉の付着部に強い緊張が見られたため、そこを中心に鍼施術を行いました。
施術前、痛みの強さを10段階中「10」とおっしゃっていた患者さまも、施術後には「2」まで軽減。
「首が動くようになった」と笑顔でお帰りになりました。
おそらく、翌日にはさらに痛みは軽くなっていることでしょう。
【補足】寝違えと肩甲挙筋の関係
寝違えの原因は「首」だけにあるとは限りません。
特に肩甲挙筋は、首の側面から肩甲骨にかけて走っている筋肉で、睡眠中の姿勢や冷え、枕の高さなどの影響で、硬結を作りやすい部位の一つです。
寝違いも時に長引くことがあり、数ヶ月続く痛みや不快感が残ることがあります。
寝違い後の慢性的な首の痛みにも、トリガーポイント鍼療法は有効です。
「朝起きたら首が動かない」「横を向けない」という症状が出たとき、肩甲挙筋のトリガーポイント治療が有効なケースは少なくありません。
つらい寝違え、早めの治療が回復を早めます。
お困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
『この記事の執筆者:佐野 聖(はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長)』
佐野聖は1995年に鍼灸マッサージ師(国家資格)を取得。8年間にわたり整形外科クリニックに勤務し、医師との連携による臨床経験を重ねたのち、2003年に横浜にて鍼灸マッサージ治療院「feel」を開院しました。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)やトリガーポイントによる痛みやコリの治療を専門とし、肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、多岐にわたる慢性症状の改善を得意としています。
その治療技術は、鍼灸専門誌『医道の日本』にも紹介されており、エビデンスと経験をもとに、患者様一人ひとりの痛みの本質に迫る施術を行っています。