線維筋痛症とは
線維筋痛症(Fibromyalgia:FMS)は、全身に広がる強い痛みやこわばり、疲労感、不眠などを特徴とする慢性痛症候群です。
明確な画像所見や血液データで異常が見つからないことも多く、治療が難しいとされています。
薬物療法(プレガバリン、SNRIなど)やリハビリが行われることが多いですが、鍼治療(トリガーポイント鍼)が有効に働くことがあります。
Aさんの経過:右臀部から全身の痛みへ
今回の患者さんは20代の女性。
昨年10月頃に右臀部(おしり)に痛みを感じ始め、その後日を追うごとに全身へと痛みが広がっていったとのこと。
医療機関で線維筋痛症と診断され、投薬と電気を使った筋膜リリースなど様々な治療を受けた後に、当院へ来院されました。
当院では、線維筋痛症に対する鍼治療を行うようになってから20年以上になります。
これまでにも、軽く触れるだけでも痛みを感じる方、音や振動で痛みを訴える方、あるいは車椅子で来院されるほど動けない方など、さまざまな症例を経験してきました。
施術の基本方針:「動ける体を取り戻す」
線維筋痛症の治療で私が最も重視しているのは、
「まず動けるようになること」
そして、
「今動ける範囲を守りながら、少しずつ動きを広げていき痛みを和らげること」
です。
痛みがあると動くのが怖くなり、筋肉を動かさない時間が増えます。
すると筋肉の血流が低下し、痛みがさらに強くなってしまう悪循環に陥ります。
逆に、鍼で筋肉の緊張を緩め、少しずつ動作が楽になってくると、痛みそのものも次第に緩和していくことが多いのです。
4回目の施術:痛みの“核”が見えてきた
4回目の施術を終えるころには、当初の「全身的な痛み」から、「この部分が特に痛い」というように痛みのポイントが明確になってきました。
初来院時に見られた右足首の腫れもほとんど消失し、「歩くのが楽になった」とのご報告。
体の中で起きている変化を、ご本人もしっかり感じ取られています。
今回は横向きで、最初に痛みが始まった右臀部にフォーカスして施術を行いました。
鍼を深部のトリガーポイントに到達させた際、Aさんからは「そこなんです」という反応が何度かありました。
この「ズーン」とした響き(トリガーポイント反応)は、痛みの根本に鍼が届いたサインでもあります。

【こちらの写真は、患者Aさんが「同じように痛みで悩む方に、少しでも参考になれば」と、臀部へのトリガーポイント鍼治療の写真をご提供くださいました。】
線維筋痛症の鍼治療で目指すこと
線維筋痛症は、痛みだけでなく、不安・倦怠感・睡眠障害など、心身両面に影響を及ぼす疾患です。
焦らず、身体の反応を見ながら少しずつ前進していくことが大切です。
Aさんも、まだ回復の途中ではありますが、確実に一歩ずつ「動ける身体」を取り戻しています。
今後も医療機関での受診・薬の服用を続けていただきながら、トリガーポイント鍼施術で身体が本来の動きを取り戻せるようサポートを続けていきます。
まとめ:
・線維筋痛症の痛みには、筋肉や筋膜にできるトリガーポイントが関係していることがある
・鍼で深部の筋を緩めることで、薬では届かない痛みの根本にアプローチできる
・「痛みを減らす」だけでなく「動けるようになる」ことを目標に施術を行う
線維筋痛症の痛みでお悩みの方へ
「薬を飲んでも変わらない」「痛みが全身に広がって不安」という方は、一度ご相談ください。
鍼灸院feelでは、トリガーポイント鍼と動作改善を組み合わせた線維筋痛症治療を行っています。
*線維筋痛症と診断を受けている方への施術は、院長のみ対応いたします*