今回は、前回と重複する部分もありますが、顎関節症のトリガーポイント治療についてのお話です。
20代前半の女性、山口さん(仮名)は、朝起きると突然口が開かないということで来院されました。
来院時は、症状が出てから3日が経っており、口を開けても指一本がやっと入る状態で、食事もゼリーなどを摂って過ごしていたそうです。
結果からお話しすると、施術後は指3本を縦にして入るようになり、久しぶりの食事を楽しめたということでした。

顎関節は、顎を開け閉めする時に動くわけですが、ただ縦方向に開閉するだけでなく、外側に広がりながら開閉します。
そのため、噛み方の癖や、就寝中の食いしばり、歯ぎしりなどで筋肉の疲労や左右のバランスが崩れると、関節に痛みを感じたり開閉が困難になってしまいます。
治療としては、肩や首の緊張を改善させる治療と合わせて、ダイレクトに顎関節を動かす筋肉にアプローチします。
上の写真は、咬筋と側頭筋のトリガーポイントに鍼でアプローチいているものです。
このとき、山口さんは、顎横の咬筋の鍼よりも、こめかみに近い側頭筋の方が、「ずーん」と顎に響いて効いている感じがしています。
トリガーポイント鍼治療は、東洋医学的な鍼灸治療とは違い、西洋医学的な視点から動きと痛みの関連を解剖学や運動学などを用いて治療するのですが、必ずしも痛いところが悪いところではなく、むしろ人間の脳は曖昧に痛みを伝えることが多いので、離れたところが原因になっていることが良くあります。
またそれに加えて、そもそもどこが痛いのかはっきり分からないということもあり、来院されても説明が難しいと言われる方もおられます。
そのような状況でも、筋肉の重なりや、つながりを考慮しながら痛みの原因を探っていきますので、ご安心ください。
=この記事は、鍼灸マッサージ師(国家資格)である当院院長の佐野聖が書いています=
「佐野聖は1995年の国家資格取得以降、臨床の第一線で活躍しており、その技術は鍼灸の専門誌である「医道の日本」において紹介されるなど、トリガーポイント・筋膜由来の痛みやコリの改善において高い評価を得ております」