横浜市の鍼灸マッサージ治療院feel 院長の佐野です。
今回は右の腰痛を主訴に来院された方のケースです。
腰痛そのものは比較的早期に改善しましたが、その後、右臀部に痛みと太もも裏の軽いしびれ・違和感が出現しました。
初期のアプローチ
症状の経過から、まずは大臀筋・小臀筋の過緊張を疑い、これらを中心に施術を行いました。
しかし、3回ほど治療を行っても症状の変化が乏しく、圧痛点や動作痛の出方を再評価したところ、内転筋(内腿)に強い緊張が見られました。
症状の背景にあった「股関節外旋筋群」の緊張
内転筋の硬さに加え、股関節の外旋制限と圧痛部位の位置関係から、深層外旋筋群の過緊張が関与していると判断しました。
治療対象を以下の筋群へ変更:
梨状筋(りじょうきん)
内閉鎖筋(ないへいさきん)
上双子筋(じょうそうしきん)
下双子筋(かそうしきん)
大腿方形筋(だいたいほうけいきん)
外閉鎖筋(がいへいさきん)
これらは股関節の外旋を担う深層の筋群で、坐骨神経との位置関係が非常に近いため、過緊張が続くと臀部痛や太もも裏のしびれを引き起こすことがあります。

仙骨を中心に左側に見えるのが大臀筋、深層筋
鍼による深層筋への直接アプローチ
これらの筋群は、体表から深くに位置しており、手技療法(マッサージ)では届かない部位です。
そのため、12cmの長鍼を用いて、皮膚を切らずに深層筋へ直接アプローチできるのが鍼治療の大きな利点です。
治療対象を切り替えたところ、2回目の施術後から明らかな改善が見られ、5回目の施術で症状はほぼ消失。
以降はセルフストレッチを指導し、経過観察をもって終了となりました。
施術経過
初回〜3回目:週1回ペースで治療
4回目以降:2週間に1度の施術
計5回で改善・終了
院長コメント
「腰痛が治ったあとに臀部や太もも裏に痛みが出る」
こうしたケースでは、梨状筋症候群や股関節外旋筋群のトリガーポイントが関与していることが少なくありません。
腰だけでなく、股関節や骨盤周囲の筋バランスを評価・治療することで、再発を防ぐことができます。
feelでは、トリガーポイントの考え方に基づき、症状の根本的な原因を見極めた施術を行っています。