今回は、肩こりの原因として見落とされがちな、前鋸筋についてお話いたします。
肩こりのメジャー筋というと、肩たたきをする筋肉でも有名な僧帽筋です。(下図参照)

図:青が左の僧帽筋
そして今日の主役は前鋸筋という胸の横側についている名前の通りノコギリのような形状の筋肉です。(下図参照)
また、前というくらいですから後もあり、こちらは上後鋸筋・下鋸筋と2つに分かれています。

図:青が前鋸筋(肋骨〜肩甲骨の裏側にくっついています)
この前鋸筋は肩甲骨を安定させるための重要な筋肉で、以下のように肩こりとも深い関係があります。
【前鋸筋と肩こりの関係】
1.肩甲骨の安定性の低下
•前鋸筋は肩甲骨を肋骨に引き寄せ、安定させる役割があり、弱ると、肩甲骨が適切に動かず、僧帽筋(そうぼうきん)や肩周りの筋肉に余計な負担がかかり、肩こりの原因になります。
2.巻き肩・猫背による負担増加
•前鋸筋は肩甲骨を前方に引く作用がありますが、デスクワークなどで猫背や巻き肩になると、過剰に働きすぎてしまうと筋肉の緊張を引き起こし、肩こりや首こりの原因になります。
3.血行不良と神経の圧迫
•前鋸筋が硬くなると、周囲の血管や神経が圧迫され、血行不良を起こし肩や腕のしびれ、痛みを引き起こすこともあります。
とこのような関係があるのですが、猫背になってしまっているのを無理やり胸を張ってみても根本的な解決にはなりません。
また猫背=前鋸筋というわけでもありませんし、肩こりの方が全員猫背というわけでもありません。
ストレッチや筋トレ、水分栄養をとって全身をトータルに考えてケアしていくことが重要です。
鍼での治療はもちろんのこと、セルフケアについても相談に乗りますのでお気軽にお声掛けください。
=この記事は、鍼灸マッサージ師(国家資格)である当院院長の佐野聖が書いています=
「佐野聖は1995年の国家資格取得以降、臨床の第一線で活躍しており、その技術は鍼灸の専門誌である「医道の日本」において紹介されるなど、トリガーポイント・筋膜由来の痛みやコリの改善において高い評価を得ております」