横浜の鍼灸院feel院長、佐野聖です。
本日は、当院でもご相談の多い「五十肩(肩関節周囲炎)」の解消に欠かせない、「肩甲下筋(けんこうかきん)」への鍼治療についてお話しします。

*前側からの肩の図(腋の下の奥の方に肩甲下筋はあります)
「何をしても腕が上がらない」「夜、肩の痛みで目が覚める」……そんなお悩みの背景にある「身体の仕組み」と、鍼がどう作用するのかをわかりやすくまとめました。
五十肩の「真犯人」はどこにいる?
五十肩は、肩の関節をスムーズに動かすための組織が固まってしまい、強い痛みや可動域の制限を引き起こす状態です。
多くの患者様が「肩の表面が痛い」と仰いますが、実は痛みと可動域制限の大きな原因が、肩甲骨の裏側に隠れています。それが「肩甲下筋」です。
この筋肉は、肩甲骨と肋骨の隙間に挟まれた非常に深い場所にあるため、一般的なマッサージや整体ではなかなか指が届きません。
なぜ肩が動かなくなるのか?(原因:組織の「ベタつき」)
筋肉の表面は「筋膜」という薄い膜で覆われています。本来、この膜の間には潤滑油のような成分があり、筋肉同士がスルスルと滑り合うことで私たちはスムーズに体を動かせています。
しかし、炎症や運動不足が続くと、この潤滑油がベタベタの糊(のり)のように固まってしまいます。この状態を、専門的には「緻密化(ちみつか)」と呼びます。
イメージとしては、「生ハムの表面が乾燥して、下の紙にピッタリくっついて剥がれない」ような状態です。この「くっつき」が肩甲骨の裏側で起きることで、物理的に腕がロックされてしまうのです。
鍼治療が「修復スイッチ」を入れる(仕組み:メカノトランスダクション)
指が届かない深い場所にある肩甲下筋の「くっつき」に対し、鍼治療はダイレクトにアプローチできる大きなメリットがあります。
ここで重要なのが、「メカノトランスダクション」という仕組みです。
難しい言葉ですが、簡単に言えば「物理的なツンツンという刺激が、細胞にとっての『修理開始!』という合図に変わる」ことです。
ダイレクトに届く:鍼が、深く固まった組織(緻密化した部分)に直接届きます。
スイッチが入る:鍼の刺激を細胞がキャッチすると、「おっと、ここに刺激が来たぞ!固まった組織を新しく作り替えなきゃ!」と反応します。
内側から解ける:この「修復スイッチ」が入ることで、血流が改善し、ベタベタに固まっていた組織が再び潤いを取り戻し、スムーズに滑り始めます。
横浜で五十肩にお悩みの皆様へ
五十肩は「時間が経てば治る」と言われることもありますが、放置すると数年にわたって不自由を強いられることもあります。
当院では、単に痛みがある場所を診るだけでなく、最新の筋膜理論に基づき、原因となっている深層のトリガーポイント(痛みの引き金)を的確に見極めます。
「どこへ行っても変わらなかった」という方は、肩甲骨の裏側に隠れたスイッチがまだオフのままかもしれません。そのスイッチをオンにして、スムーズに動く肩を取り戻しませんか?
お一人で悩まず、ぜひ一度、横浜の鍼灸院feelにご相談ください。
=筆者:佐野 聖(さの ひじり)/ はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長=
1995年、鍼灸マッサージ師(国家資格)取得。整形外科勤務を経て臨床経験を積み、2003年に横浜にて「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」を開業。
これまでの臨床の中で、痛みの多くが筋肉や筋膜に由来することに着目し、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)およびトリガーポイントに特化した治療を専門としている。
肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、慢性的な痛みに対して、局所だけでなく身体全体の機能を踏まえたアプローチを行い、改善をサポートしてきた。
その治療技術と臨床経験は、鍼灸専門誌『医道の日本』において特集掲載されている。
