横浜のトリガーポイント鍼灸院 feel 院長の佐野です。
今日は少し難しそうな言葉のお話です。
その名も、
「メカノトランスダクション」
…長いですね。
正直、最初に聞いた時は私も、
「ロボットアニメの必殺技かな?」
と思いました。
しかし、この言葉。
実は、
・鍼治療
・マッサージ
・筋トレ
・ストレッチ
・美容鍼
などを考える上で、非常に重要な考え方なんです。
しかも内容は意外とシンプルです。
身体は“押される”と反応している
例えば、
肩をマッサージされる
鍼が刺さる
ストレッチで伸ばされる
筋トレで負荷がかかる
こうした刺激を受けると、身体は変化します。
・「気持ちいい」
・「軽くなる」
・「筋肉がつく」
・「肌のハリが出る」
などですね。
昔は、
「血流が良くなるから」
という説明が中心でした。
もちろんそれも間違いではありません。
しかし最近では、
“細胞そのものが刺激を感じて反応している”
ということが分かってきました。
これがメカノトランスダクションです。

細胞は意外と“空気を読む”
私たちの細胞は、ただ並んでいるだけではありません。
実はかなり敏感です。
例えば筋肉や筋膜の細胞は、
・「引っ張られた」
・「押された」
・「揺らされた」
という“力”を感じ取っています。
そして、
「おっと、ここ負担かかってるな」
と判断すると、
・修復を始める
・強くなろうとする
・コラーゲンを作る
・周囲を調整する
などの反応を起こします。
つまり身体の細胞は、
“力”を言葉として理解している
とも言えるわけです。
筋トレで筋肉がつく理由
これもメカノトランスダクションです。
ダンベルを持つ
↓
筋肉に張力がかかる
↓
細胞が刺激を感知
↓
「これは強くならないとまずい」
↓
筋肉を太くする
つまり、
「重いものを持ったから筋肉がつく」のではなく、
「細胞が危機感を覚えたから筋肉を作る」という流れなんですね。
筋肉は根性論ではなく、生物学です。
美容鍼でも起きている
美容鍼も同じです。
鍼による微細な刺激
↓
細胞が反応
↓
修復モードON
↓
コラーゲン産生
これによって、
・ハリ感
・肌質
・むくみ感
などに変化が出ると考えられています。
つまり美容鍼は、「顔に刺激を入れて終わり」ではなく、「細胞に仕事をしてもらう」施術なんですね。
患者さんの面白い話
以前、筋トレ好きの患者さんがいました。
その方は、
「先生、最近ちょっと追い込みが足りない気がして」
と言っていたのですが、
ある日、気合いを入れすぎてスクワットをやり込みました。
翌日。
歩き方が完全にロボット。
ベッドに座る時も、
「うっ…」
「はっ…」
「ぐっ…」
と、ほぼ生まれたての小鹿状態です。
しかし本人は真顔で、「効いてますね」と満足げ。
確かに効いています。
細胞レベルでは、「もうやめてください」という悲鳴とともに、修復反応が全力で始まっています。
これも立派なメカノトランスダクションです。
ただし、
やりすぎは普通に壊れます。
ここ重要です!
「強ければ効く」ではない
ここは誤解されやすい部分です。
メカノトランスダクションを知ると、「じゃあ強く押せばもっと効くのでは?」と思われることがあります。
しかし実際は逆です。
細胞は非常に繊細です。
強すぎる刺激は、
・防御反応
・炎症
・緊張増加
を起こすことがあります。
つまり、適切な刺激が大切なんです!
これは鍼でもマッサージでも筋トレでも同じです。
身体は“会話”している
臨床をしていると感じるのですが、身体は機械ではありません。
刺激を入れる
↓
細胞が反応する
↓
神経が学習する
↓
動きが変わる
という“会話”が起きています。
だからこそ、
・鍼
・マッサージ
・運動
・呼吸
・姿勢
が全部つながってきます。
身体は部分ではなく、全体で反応しているんですね。
最後に
メカノトランスダクションという言葉は難しそうですが、
簡単に言えば、
「身体は刺激を感じて変化している」
ということです。
そしてその変化は、
・強さ
・方向
・タイミング
・動き
・回復
によって大きく変わります。
だから治療もトレーニングも、「とにかく強く」ではなく、
“身体が良い反応を起こす刺激”
を探していくことが大切なのだと思います。
=筆者:佐野 聖(さの ひじり)/ はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長=
1995年、鍼灸マッサージ師(国家資格)取得。整形外科勤務を経て臨床経験を積み、2003年に横浜にて「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」を開業。
これまでの臨床の中で、痛みの多くが筋肉や筋膜に由来することに着目し、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)およびトリガーポイントに特化した治療を専門としている。
肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、慢性的な痛みに対して、局所だけでなく身体全体の機能を踏まえたアプローチを行い、改善をサポートしてきた。
その治療技術と臨床経験は、鍼灸専門誌『医道の日本』において特集掲載されている。
