こんにちは。
横浜の「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」院長の佐野聖です。
今回は、当院で実際にあった「1年以上続いた首と肩甲骨の痛み」の症例についてご紹介します。医療機関やリハビリに半年以上通っても改善しなかった症状が、なぜ当院の鍼治療で劇的に良くなったのか、その背景にある「筋膜」と「筋肉」の視点から解説します。

症例:30代男性「あれだけ通ったリハビリは何だったのか」
患者様は30代の男性、普段から自転車(ロードバイク等)に乗ることが多く、運転時に「右の首から肩甲骨にかけて」の鋭い痛みに悩まされていました。
1年以上続く痛みに対し、整形外科でのリハビリにも半年以上真面目に通われましたが、期待するような変化は見られなかったそうです。そこで「トリガーポイント鍼治療なら何か変わるかもしれない」と、当院へ来院されました。
原因:犯人は「頸板状筋」のトリガーポイント
詳細な触診と動作確認を行ったところ、右の首の深い位置にある「頸板状筋(けいばんじょうきん)」に、指で触れると痛みが響く明確なトリガーポイントを発見しました。
自転車の運転姿勢は、前傾姿勢で頭を保持し続けるため、首の伸筋群には常に「遠心性収縮(引き伸ばされながら緊張すること)」の負荷がかかります。この状態が続くと、筋膜の滑走性が失われ、筋肉内に「痛みのセンサー」が過敏になったポイント(トリガーポイント)が形成されてしまいます。
治療と経過:1回での劇的な改善
施術では、この頸板状筋に対して鍼を直接刺入し、過敏な反応を「リリース」しました。併せて、周囲の筋肉も丁寧に緩めることで、首全体の組織の柔軟性と血流を回復させました。
結果、わずか1回の施術で痛みはほぼ消失。1ヶ月後の定期チェックにお越しいただいた際も「全く痛みはありません」とのこと。
「あれだけリハビリに通ったのに、1度で良くなったのは本当にびっくりです」という驚きの声をいただきました。
なぜ鍼治療が効いたのか?:筋膜の連続性と深層へのアプローチ
この症例で重要だったのは、「表面的なマッサージでは届かない深層の筋肉」と「筋膜の繋がり」です。
深層への直接アプローチ 頸板状筋のような深層の筋肉は、上部にある僧帽筋などに覆われているため、手技だけで正確にリリースするのが難しい場合があります。鍼は、ターゲットとなる組織にミリ単位で直接アプローチできるため、短時間で高い効果を発揮します。
筋膜経線(アナトミー・トレイン)の視点
この方の場合、首だけでなく「肩甲骨」にも痛みが出ていました。これは「スパイラル・ライン」や「ラテラル・ライン」といった筋膜の繋がりにより、首の緊張が肩甲骨周囲まで波及していたためと考えられます。局所だけでなく、全体の繋がりを見て筋肉を緩めたことが、早期改善の鍵となりました。
バイオテンセグリティの回復 首の筋肉が1箇所でもロックされると、全身の張力バランス(テンセグリティ)が崩れます。鍼によって一点の「しこり」を解くことで、全体の構造的バランスが本来の形に戻り、自転車の運転という日常的な負荷にも耐えられる体になったのです。
最後に
「長期に渡り良くならない」「半年以上リハビリを続けているが変化がない」という慢性的な痛みは、筋肉の深層に眠るトリガーポイントが原因かもしれません。
=筆者:佐野 聖(さの ひじり)/ はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長=
1995年、鍼灸マッサージ師(国家資格)取得。整形外科勤務を経て臨床経験を積み、2003年に横浜にて「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」を開業。
これまでの臨床の中で、痛みの多くが筋肉や筋膜に由来することに着目し、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)およびトリガーポイントに特化した治療を専門としている。
肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、慢性的な痛みに対して、局所だけでなく身体全体の機能を踏まえたアプローチを行い、改善をサポートしてきた。
その治療技術と臨床経験は、鍼灸専門誌『医道の日本』において特集掲載されている。
