症状別治療例
Treatment Cases

股関節痛とトリガーポイント治療

─ 変形だけが痛みの原因ではありません

股関節は、大腿骨(太ももの骨)と骨盤によって構成される大きな関節です。
身体を支えつつ、円形の関節面によって広範な自由な動きを可能にしています。
この構造は肩関節にも似ていますが、重力による影響の違いが大きなポイントです。
肩関節は重力によって関節面が引き離される傾向にあるのに対し、股関節は体重を支えるため、関節面同士が常に接近・干渉する状態にあります。
この特性により、股関節では変形性股関節症などのトラブルが生じやすくなっています。

股関節痛の分類

股関節の障害は、大きく次の2つに分けられます。

一次性変形性股関節症
  • 加齢や日常生活動作など、明確な原因がなく発症するタイプ
二次性変形性股関節症
  • 先天性股関節脱臼
  • 発育性股関節形成不全
  • 変形性膝関節症による二次的影響

など、既存の疾患や構造異常に起因するタイプ

どちらの場合も、動かしたときの痛み(運動時痛)、あぐらをかいたときの痛み、体重をかけたときの痛みなど、日常生活に大きな支障をきたすことが特徴です。

本当に変形が痛みを起こしているのか?

股関節のレントゲンで変形が見つかると、「だから痛いのだ」と考えがちですが、実際には変形そのものが直接痛みを引き起こしているわけではないケースが多く見られます。
真の問題は、

  • 変形により生じる脚長差(左右の脚の長さのズレ)
  • それに伴う筋肉への負担バランスの崩れ

にあります。

痛みの悪循環──負担の連鎖で痛みが広がる

脚長差や関節運動制限により、一部の筋肉には過剰な負荷がかかり、負担を受けた筋肉にトリガーポイント(痛みの引き金点)が形成されます。
そして痛みを避けようとすることで不自然な姿勢や歩行パターンが生じ、今度は別の筋肉に二次的な負担がかかり、さらなるトリガーポイントが生まれる・・・。
この悪循環が続くことで、
「最初は股関節だけだった痛みが、腰や膝にまで広がっていく」ことも珍しくありません。

股関節痛へのトリガーポイント治療

痛みの悪循環を断ち切るためには、
まずトリガーポイントを適切に解除し、筋肉の負担をリセットすることが重要です。
当院では、股関節周囲だけでなく、腰や膝との連動性も重視した多角的な評価と施術を行っています。

治療対象となる主な筋肉(トリガーポイント)

股関節痛に関連しやすい筋肉は以下の通りです。

  • 腸腰筋(股関節屈曲時に主に働く深部筋)
  • 大腿筋膜張筋(骨盤の前側を支える筋肉、脚の外転に関与)
  • 中殿筋・小殿筋(片脚立ちや歩行時に骨盤を安定させる)
  • 内転筋群(股関節を内側に引き寄せる、バランス維持に重要)

これらの筋肉にできたトリガーポイントを、問診・動作確認・触診を通して精査し、深部まで届く施術を行います。

【まとめ】

  • 股関節の痛みは、必ずしも関節の変形そのものが原因ではありません。
  • 筋肉バランスの崩れと、それに伴うトリガーポイント形成が痛みの主因となることが多いです。
  • 股関節だけでなく、腰・膝を含めた広い視野での評価と施術が重要です。
  • 痛みの悪循環を早期に断ち切るため、まずはご相談ください。

変形だけを見て諦めずに、「筋肉から変わる」選択肢を、一緒に見つけていきましょう。

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