症状別治療例
Treatment Cases

膝痛とトリガーポイント治療

─ 痛みの原因は「関節」だけとは限りません

膝の痛みと一口に言っても、

  • 膝の前側、横、裏側、内側
  • 歩行時、階段昇降時、正座、運動時

など、既存の疾患や構造異常に起因するタイプ

など、症状の出る場所や場面は人によってさまざまです。
また、姿勢や生活習慣の影響も複雑に絡み合い、膝痛の背景は一概には語れません。
膝関節は単純な屈伸運動だけでなく、微妙な回旋運動も伴う繊細な関節です。
そのため、周囲の筋肉が疲労や緊張で硬くなると、膝の安定性が失われ、筋肉に過剰な負担が集中していく仕組みになっています。

本当に関節だけが痛みの原因なのか?──MPS(筋筋膜性疼痛症候群)との関係

近年、膝痛の原因の多くは、単なる関節の損傷だけではなく、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)と呼ばれる筋肉由来の痛みであることが分かってきています。
MPSとは、筋肉や筋膜に形成されたトリガーポイント(痛みの引き金点)が、

  • 局所の痛み
  • 広がるような放散痛
  • だるさや重だるさ

などを引き起こす状態を指します。

膝周囲の筋肉にトリガーポイントができると、

  • 立ち上がり時の痛み
  • 歩行開始時の痛み
  • 運動中や運動後の違和感

といった、膝関節自体に問題があるかのような症状が現れるのです。

膝痛に隠れるトリガーポイントの悪循環

  • 疲労や姿勢の崩れにより、膝周囲筋が緊張
  • 微小な損傷や血流障害が起こり、トリガーポイントが形成
  • 痛みをかばうことで、さらに別の筋肉に負担
  • 緊張・痛み・機能低下が連鎖

このように、「痛み→筋肉の悪化→さらなる痛み」という悪循環が進行していきます。
また、運動不足により筋力低下が進んでも、膝関節の不安定性が増し、結果的に同じ悪循環に陥るリスクが高まります。

鍼灸によるトリガーポイント治療

─ 痛みの根本にアプローチする方法

当院では、

  • 膝を支える筋肉にできたトリガーポイントを的確に捉え
  • 鍼を用いて深層筋に直接アプローチし
  • 筋肉の緊張緩和・血流促進・痛みの改善

を図ります。
これにより、膝関節への負担を軽減しながら、自然な回旋運動と安定性を取り戻すことを目指します。

再発防止には柔軟性と筋力の回復を

施術によって痛みが緩和した後は、

  • ストレッチによる柔軟性の回復
  • トレーニングによる筋力の強化
  • 日常生活での姿勢や歩き方の見直し

を行うことが重要です。
「痛みを取るだけ」ではなく、「痛みの出ない体に戻す」
そこまでが本当の治療と考えています。

治療対象となる主な筋肉(トリガーポイント)

膝痛に関連する代表的な筋肉は以下の通りです。

  • 大腿四頭筋(膝の前面を支える主力筋群)
  • ハムストリングス(膝裏を支える屈筋群)
  • 縫工筋(膝の内側を斜めにまたぎ、内転と屈曲に関与)

これらの筋肉を、問診・動作評価・触診を通じて細かく検査し、トリガーポイント鍼療法で治療を進めます。

治療対象となる主な筋肉 治療対象となる主な筋肉 治療対象となる主な筋肉
▲ 大腿直筋 (大腿四頭筋の1つ) ▲ 大腿二頭筋 (ハムストリングスの1つ) ▲ 縫工筋

【まとめ】

  • 膝痛の多くは、関節そのものではなく周囲筋肉の問題(MPS)が関与しています。
  • トリガーポイントを的確に治療することで、痛みの本質的な改善が可能です。
  • 柔軟性と筋力のバランスを整え、再発しにくい体作りを目指しましょう。

膝が痛いからといって、すぐに「関節が悪い」と決めつける前に、筋肉からのアプローチを試してみませんか?

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