横浜鍼灸専門治療院 feel がこれまでに対応した症例
坐骨神経痛とトリガーポイント治療
─ 本当の原因にアプローチして、痛みとしびれの改善を目指す
「お尻から脚にかけて痛い」「ふくらはぎまでしびれる」
これらの症状は、一般に「坐骨神経痛」と呼ばれています。
坐骨神経痛はあくまで症状を表す名前であり、痛みやしびれを起こしている本当の原因は人によってさまざまです。
当院では、坐骨神経痛の多くに関わる**筋筋膜性疼痛症候群(MPS)に着目し、筋肉の深層にできたトリガーポイント(痛みの引き金点)**にアプローチすることで、症状の根本改善を目指します。
坐骨神経痛の正体とは?
一般的に坐骨神経痛とは、臀部から太もも・ふくらはぎ・足先にかけて生じる痛みやしびれを指します。
病院ではMRIやX線検査を行い、「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」と診断されることもあります。
しかし、画像上の異常=痛みの原因とは限らないことが近年の研究で明らかになってきています。
本当に神経が原因?──MPS(筋筋膜性疼痛症候群)との関係
実際のところ、坐骨神経が直接圧迫・障害されているケースは少数派であり、筋肉にできたトリガーポイントが痛みやしびれを引き起こしている(MPS)ケースが非常に多いのです。
MPSによる坐骨神経痛様の症状の特徴
- 歩行や運動など筋肉を使うと症状が強まる
- 症状の場所が日によって変わったりぼやけたりする
- 筋肉を押すと「そこ!」という痛みの再現がある
- MRIやX線では異常が見つからない、もしくは一致しない
ヘルニアと坐骨神経痛は必ずしも結びつかない
MRIなどで椎間板ヘルニアが見つかった場合でも、痛みやしびれの直接的な原因でないことが多いとするデータがあります。
エビデンス紹介
- MRI検査では、腰痛や坐骨神経痛のない健常者の70~80%にも椎間板ヘルニア所見が認められる(Boosら, 1995年)
- 無症状者でも椎間板膨隆や神経への接触所見が高頻度で見られる(Jensenら, 1994年)
つまり、「ヘルニアがあるから痛い」という単純な因果関係は成立しないことが、今や常識となりつつあります。
MRIを過信しないためのチェックリスト
MRIで異常を指摘されても、痛みの原因が筋肉にある可能性は十分にあります。
以下に当てはまる場合、神経圧迫以外の筋肉性の問題(MPS)が関与している可能性が高いと考えられます。
セルフチェック
- 安静よりも歩行や動作で症状が強まる
- 痛む場所が変わったり広がったりする
- 「ここ!」と押して再現される痛みがある
- 湿布や薬では改善しない
- 痛みが日によって波がある
- 長時間同じ姿勢で悪化する
これらに当てはまる方は、トリガーポイントへのアプローチが有効かもしれません。
本当に神経障害がある場合の危険サイン
一方で、以下のような症状が現れている場合は、神経そのものに重大な障害が発生している可能性があり、速やかな医療機関受診が必要です。
危険サイン
- 足首や膝が上がらない(筋力低下・麻痺)
- 排尿・排便コントロールができない(膀胱直腸障害)
- 両脚に広がる強いしびれ・脱力
- 安静にしていても激しい痛みが続く
- 感覚がまったくない、または感覚が極端に鈍い
このような場合は、すぐに整形外科・脳神経外科など専門医を受診しましょう。
鍼鍼灸によるトリガーポイント治療
─ 本当の原因に、深部からアプローチ
当院では、坐骨神経痛症状に対し、小殿筋・中殿筋・梨状筋など、原因となる筋肉のトリガーポイントを特定し、鍼治療で直接アプローチします。
トリガーポイントを適切に緩めることで、
- 痛みやしびれの軽減
- 血流改善による自然治癒力の回復
- 再発防止のための筋肉バランスの回復
を目指します。
治療対象となる主な筋肉
坐骨神経痛様の症状に関連しやすい筋肉は以下の通りです。
- 小殿筋(臀部の外側の痛み・しびれ)
- 中殿筋(骨盤の安定性、歩行痛)
- 梨状筋(坐骨神経との近接、しびれ拡大)
これらの筋肉に形成されたトリガーポイントを精査し、適切な施術を行います。
【まとめ】
- 坐骨神経痛は、必ずしも神経圧迫が原因ではありません。
- 筋筋膜性疼痛症候群(MPS)による筋肉性の痛みが多く関与しています。
- 鍼灸によるトリガーポイント治療は、症状の本質的な改善を目指す有効な選択肢です。
- 危険サインがある場合には速やかに専門医を受診し、必要な対応を行いましょう。
症状に惑わされず、本当の原因にアプローチしませんか?
当院が、その第一歩をサポートいたします。
※Jensen, M. C., Brant-Zawadzki, M. N., Obuchowski, N., et al. "Magnetic resonance imaging of the lumbar spine in people without back pain." New England Journal of Medicine 1994.