
美容鍼では、顔に刺した鍼へ電気を流す「パルス」を行う施術があります。
表情筋がピクピクと動くため、施術を受ける側からすると「効いている感じ」が分かりやすい方法です。
ただ、私は美容鍼において、このパルス刺激をそれほど重要だとは考えていません。
むしろ私は、美容鍼で本当に重視すべきなのは、皮膚や皮下組織にどのような物理的刺激を与えるかだと考えています。
筋肉を動かすことにどこまで意味があるのか
パルスをかければ、電気刺激によって表情筋は収縮します。
それ自体は事実です。
しかし、そこで私はいつも疑問を持ちます。
10〜30分程度、電気刺激で表情筋を収縮させることが、本当に筋機能の改善やリフトアップにつながるのか。
筋肉の機能を変えるのであれば、本来は一定以上の負荷、反復、継続が必要です。
これは顔の筋肉であっても基本的な考え方は同じです。
施術中に筋肉が動いていることと、その筋肉の機能が改善したことは同じではありません。
一時的な筋収縮や血流変化が起こることはあるでしょう。
しかし、それをそのまま
「表情筋を鍛えている」
「筋肉が引き締まり、顔が上がる」
と説明することには、私は慎重であるべきだと考えています。
そのため当院では、美容鍼の効果を考えるうえで、パルスによる筋収縮を中心には置いていません。
美容鍼で重要なのは「鍼を刺すこと」そのもの
では、美容鍼の何を重視しているのか。
私は、鍼を刺すことによって生じる微細な組織刺激を非常に重要だと考えています。
皮膚や皮下組織に鍼を刺すと、非常に小さな物理的刺激が加わります。
美容の分野では、こうした微細な損傷をマイクロトラウマとして捉えることができます。
身体には、損傷した組織を修復しようとする仕組みがあります。
つまり、美容鍼では単に「ツボを刺激する」のではなく、皮膚や皮下組織に適切な微細刺激を加え、その後に起こる修復反応を利用するという考え方ができます。
私は、美容鍼においてはこちらの方がはるかに重要だと考えています。
少ない鍼に電気を流すより、多点に適切な刺激を与える
私の考えはシンプルです。
少数の鍼に電気を流すのであれば、その時間と刺激を、皮膚や皮下組織により広く、適切に機械刺激を与えることに使った方が合理的ではないか。
もちろん、「本数が多ければ多いほど良い」という意味ではありません。

重要なのは本数そのものではなく、
どの部位に、どの深さで、どの密度で、どの程度の刺激を与えるのか。
その結果として、どれだけ適切なマイクロトラウマを作り、組織の修復反応を引き出せるかです。
美容鍼の効果を最大限に引き出そうと考えたとき、私はパルスではなく、この「刺激の量と質」を重視するようになりました。
その考えから生まれたのがリガメンティシア®
この考え方をもとに当院でつくった美容鍼が、リガメンティシア®です。
リガメンティシア®では、多くの鍼を使用します。
しかし、多く刺すこと自体が目的ではありません。
顔全体の皮膚や皮下組織に対して、適切な場所に適切な刺激を分散して与えること。
そして、鍼によるマイクロトラウマを通じて、身体が本来持っている修復反応をできるだけ有効に引き出すこと。
そこを重視して施術を組み立てています。
言い換えれば、
パルスで筋肉を動かす美容鍼ではなく、鍼そのものの刺激を最大限に活かす美容鍼。
それがリガメンティシア®です。
「筋肉が動く=美容効果」ではない
パルスをかけて表情筋が動く施術は、非常に分かりやすいものです。
実際に筋肉が動くので、
「効いている」
「顔が引き締まっている」
と感じやすいと思います。
しかし、施術中・直後に目に見える反応があることと、その刺激が長期的な美容効果につながることは別に考える必要があります。
私は施術を組み立てるとき、
見た目に分かりやすい刺激かどうかではなく、その刺激が組織に対して何を起こしているのか
を重視しています。
だからこそ、美容鍼にパルスをかけることを前提にはしていません。
美容鍼の本質
美容鍼というと、
「何本刺しますか?」
「電気を流しますか?」
という点が注目されがちです。
しかし、本来重要なのはそこではありません。
何のためにその鍼を刺しているのか。
どの組織を狙っているのか。
どの程度の刺激を与えているのか。
その刺激によって身体にどのような反応を起こそうとしているのか。
私は、この部分が美容鍼の質を決めると考えています。
パルスをかけて筋肉を動かすことよりも、鍼による微細な組織刺激を適切に積み重ねる。
その方が、美容鍼という施術の特性をより活かせるのではないか。
そう考えてつくったのが、当院オリジナルの美容鍼リガメンティシア®です。
美容鍼は「派手に反応する施術」である必要はありません。
私は、なぜその刺激を入れるのかを説明できる美容鍼を提供したいと考えています。
【監修・執筆者プロフィール】
佐野 聖(さの ひじり)
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
横浜市の「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」院長。1995年に国家資格を取得後、整形外科勤務を経て、2003年に開業。
30年以上にわたり、肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛などの慢性的な痛みの施術に従事。筋筋膜性疼痛症候群(MPS)、トリガーポイント、筋膜へのアプローチを専門とし、解剖学・運動学に基づいた施術を行っている。
トリガーポイント治療に関する臨床・技術について、鍼灸専門誌『医道の日本』に特集掲載。現在も国内外の知見を学び続け、臨床経験と根拠の両面を重視した施術を行っている。