50代女性の患者様です。
3か月以上、足専門の整形外科へ通院されていました。
レントゲンなどの検査では、
骨に異常なし
関節にも異常なし
と診断されました。
痛みの原因として繰り返し説明されたのは、
「靴のサイズが合っていないのかもしれません。」
しかし、靴を変えても痛みは改善せず、不安を感じて当院へ来院されました。

痛かったのは足の甲
痛みは、
足の甲の中央から母趾側
歩行時に強く感じ、
長時間歩くとさらに悪化する状態でした。
整形外科的な評価で重大な疾患が否定されていることを確認したうえで、
当院では筋肉の状態を詳しく評価しました。
原因は「足の甲」ではありませんでした
評価した筋肉は、
後脛骨筋
前脛骨筋
腓骨筋群
ヒラメ筋
腓腹筋
その中でも、
後脛骨筋には強い圧痛があり、圧迫すると患者様が普段感じている足の甲の痛みが再現されました。
トリガーポイントの関連痛パターンでも、後脛骨筋は足背中央から母趾側へ関連痛を起こすことが知られています。
つまり、
痛みを感じていた場所と、痛みの原因になっていた筋肉は異なる場所にあったと考えられました。
トリガーポイント鍼治療を開始
痛みの第一の原因と考えるトリガーポイントを中心に施術を行いました。
後脛骨筋
前脛骨筋
腓骨筋群
ヒラメ筋
腓腹筋
症状の変化を確認しながら施術を続けた結果、3回の施術で足の甲の痛みは消失しました。
画像検査では見つからない痛みもあります
もちろん、足の甲の痛みには
疲労骨折
関節疾患
靱帯損傷
神経障害
など、医療機関で評価すべき疾患もあります。
一方で、
画像検査で大きな異常が見つからないにもかかわらず痛みが続く場合には、
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)やトリガーポイントが関与している可能性も考えられます。
まとめ
「痛い場所」と「原因となる場所」は必ずしも一致しません。
今回の症例では、
足の甲ではなく下腿深層にある後脛骨筋を中心とした筋肉へのアプローチによって症状が改善しました。
当院では、痛みのある場所だけでなく、関連痛を生じる筋肉まで評価し、一人ひとりの症状に合わせたトリガーポイント鍼治療を行っています。
【監修・執筆者プロフィール】
佐野 聖(さの ひじり)
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
横浜市の「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」院長。1995年に国家資格を取得後、整形外科勤務を経て、2003年に開業。
30年以上にわたり、肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛などの慢性的な痛みの施術に従事。筋筋膜性疼痛症候群(MPS)、トリガーポイント、筋膜へのアプローチを専門とし、解剖学・運動学に基づいた施術を行っている。
トリガーポイント治療に関する臨床・技術について、鍼灸専門誌『医道の日本』に特集掲載。現在も国内外の知見を学び続け、臨床経験と根拠の両面を重視した施術を行っている。