シューズ選びは、トレーニング効果だけでなく身体を守るためにも重要です。
トレーニングジムへ行くと、ランニング・ウォーキング用シューズでスクワットやデッドリフトなどの筋力トレーニングをしている方をよく見かけます。
もちろん、それでもトレーニングはできます。
しかし、身体への負担やトレーニング効率を考えると、非常にもったいないと感じます。
今回、私が普段使っている2足をご紹介します。

On Cloudsurfer(ウォーキング・ジョギング用)

Nike Metcon(筋力トレーニング用)
この2足は見た目こそ似ていますが、機能はまったく異なります。
ジョギングシューズは「前へ進む」ための靴
「ランニングシューズ・ウォーキングシューズ」着地衝撃を吸収する
足が前へ転がる
長時間歩いても疲れにくい
ように設計されています。
厚いクッション材やロッカー構造(前へ転がる形状)が採用されているモデルも多く、非常に快適です。
ウォーキングやジョギングでは最高の性能を発揮します。
しかし筋トレでは逆効果になることも
スクワットやデッドリフトでは、
必要なのは
地面をしっかり踏む
足裏全体で力を伝える
左右にブレない安定性
です。
クッション性が高いシューズでは、体重を支えるたびにソールが沈み、そのわずかな沈み込みが、
足首
膝
股関節
骨盤
の位置関係を変化させます。
重い重量になるほど、この差は無視できません。
トレーニングシューズは「安定」を最優先
Nike Metconのようなトレーニングシューズは、
硬いソール
横方向への強さ
かかとの安定性
を重視しています。
そのため、
スクワット
ランジ
レッグプレス
ケーブルトレーニング
などで力を逃がしにくくなります。
結果としてフォームも安定しやすくなります。
足元の違いは全身へ伝わる
人の身体は一つの部位だけで動いているわけではありません。
足底から始まった力は、
下腿
大腿
骨盤
体幹
肩
へと連続して伝わります。
筋膜の連続性という観点でも、足部から体幹・頭部まで連なる筋膜経線が存在すると考えられており、足部の機能は全身の動きに影響を及ぼします。
つまり、「靴が合わない」という問題は、足だけの問題では終わらないことがあります。
シューズだけでは解決しないこともある
もちろん、シューズを変えればすべて解決するわけではありません。
すでに
ふくらはぎ
前脛骨筋
腓骨筋
ハムストリング
大腿四頭筋
臀筋
などに過度な緊張やトリガーポイントが形成されている場合、正しいシューズへ変更しても違和感が残ることがあります。
長期間積み重なった筋肉の過緊張は、靴だけでは元に戻らないからです。
鍼治療で筋肉をリセットするという考え方
当院では、筋肉や筋膜の状態を評価し、過緊張を起こしている筋へトリガーポイント鍼治療を行っています。
靴を見直し、フォームを改善し、必要に応じて筋肉のコンディションを整える。
この3つがそろうことで、より快適にトレーニングやウォーキングを続けられる方は少なくありません。
まとめ
✔ ウォーキング・ランニングシューズは歩くための靴
✔ 筋力トレーニングには安定性の高いシューズがおすすめ
✔ 足元の環境は全身の動きに影響する
✔ シューズだけで改善しない筋肉の問題には、筋肉へのアプローチも重要になる場合がある
院長からひとこと
私は用途によってシューズを使い分けています。
車で例えるなら、オフロードタイヤでサーキットを走るようなもの。
走れないわけではありませんが、本来の性能は発揮できません。
トレーニングを頑張るからこそ、身体を支える「足元」にも少しこだわってみてはいかがでしょうか。
【監修・執筆者プロフィール】
佐野 聖(さの ひじり)
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
横浜市の「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」院長。1995年に国家資格を取得後、整形外科勤務を経て、2003年に開業。
30年以上にわたり、肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛などの慢性的な痛みの施術に従事。筋筋膜性疼痛症候群(MPS)、トリガーポイント、筋膜へのアプローチを専門とし、解剖学・運動学に基づいた施術を行っている。
トリガーポイント治療に関する臨床・技術について、鍼灸専門誌『医道の日本』に特集掲載。現在も国内外の知見を学び続け、臨床経験と根拠の両面を重視した施術を行っている。